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ご挨拶
教職開発専攻(教職大学院)での学びに期待すること
現下の学校教育を取り巻く社会情勢は、不透明さや不確定さを加速度的に増してきています。グローバル化された社会を象徴するかのようにコロナ禍の克服が喫緊の世界的な共有課題となったことにともない、学校教育のあり方についてウィズ・コロナやポスト・コロナを見据えた検討も不可欠となってきました。このように、知識基盤社会・多文化共生社会においてSociety 5.0に向けた学校教育が取り組むべき課題は、ますます複雑化・多様化してきています。このことは、高度専門職業人としての教師の養成を牽引する教職大学院の重要性がいっそう高まってきていることを意味します。
教職大学院は、高度専門職業人としての教師の養成に特化した専門職大学院として、社会の大きな変化や複雑化・多様化する学校教育の諸課題に対応し得る高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備えた力量ある教師の養成を目的としています。広島大学では、2016(平成28)年に教職開発専攻(教職大学院)が教育学研究科に開設され、その後、2020(令和2)年の研究科再編に際し、人間社会科学研究科の一専攻として位置付けられることになるとともに、担当する教員とカリキュラムを拡充させ、現在に至っています。
本学の教職大学院では、とりわけ「探究・創造・協働の学び」を追求する新しい学校づくりを担う「総合的で実践的なプロフェッショナル」としての教師の養成を目指しています。そして、理論と実践を往還したカリキュラムに基づく学修による、学校や地域社会の課題解決に貢献できる優れた実践的対応力と実践研究力の育成・向上を重視しています。そのために、院生個々が自らの課題を設定し、課題解決のために深く探究するとともに、協働の学びを通して視野を広げ、新たな価値の創造を求め、自己を高めていくようにカリキュラムを編成しています。
これからの社会を生きる子どもたちの教育を担う教師には、学校教育に課された課題に真摯に向き合い、時には問題把握の枠組みそのものをも問い直すとともに、問題を深く洞察し、同僚と協働しながらその解決へと挑戦していく力量が不可欠です。さらに、教師自らが価値ある問いを主体的に設定し、その問いへの絶えざる探究と省察を通して、新たな教育実践や学校の創造に貢献していく力量も求められます。
広島大学の教職大学院で、教職の魅力と奥深さを探究し再発見するとともに、新しい学校づくりに不可欠な、教職に関する高度な専門性を身に付け、「総合的で実践的なプロフェッショナル」としての教師へと成長していくことを目指しましょう。
2023(令和5)年4月1日
広島大学大学院人間社会科学研究科
教職開発専攻 専攻長 大後戸 一樹